今年は、映画史上に残るシリーズものの続編が相次いで公開される。ざっとタイトルを列挙すると、この夏だけでも「ターミネーター」「マッドマックス」「ミッション・インポッシブル」「ジュラシック・パーク」等のビッグネームが並ぶし、年末には007の最新作や「スターウォーズ」の新しいエピソードまで控えている。
こうまでビッグタイトルが並ぶと、ワクワクを通り越して、ホントに今年は、120年程の映画の歴史の中でも、節目の年なんだなあ、という気があらためてしてくる。それはけして、第二次世界大戦終結から70年とかそういうことではなく、偶然企画が重なっただけなのかもしれないが、映画関係者が、観客に安定したパイを預けたがっているのは、間違いないことであり、いうなれば企画の保守化。我々がどう食いつくかで、来年以降の映画の流れが確実に変わっていくであろう。観客の動向が試されている、かなり責任重大な年だ。
むろん今年は、日本にとっては、敗戦から70年。これこそ節目の年であるのは間違いなく、塚本晋也監督「野火」(シネ・ウインドで7月25日~公開)、荒井晴彦監督「この国の空」、原田眞人監督「日本のいちばん長い日」などの注目作が並ぶ。だが、こんな大切な年に、自民党政権は集団的自衛権を行使せんがための法案を次々に閣議決定し、国会審議で成立させようと虎視眈々と狙っているわけで、果たして、映画はそんな流れに対し、どう抗っていけるのだろう、とあらためて考えざるを得ないのだ。
映画に、そんな役割を期待してはいけないと、これまで散々言われてきたのだが、芸術を手掛けるものは、世界を変えたいと願っている、とやはり考えているわけで、そんな作り手の思いや願いにどう接するか、ということもまた、我々が試されている、という一つの表れであると確信している。
だから自分も、今年、戦争、原発をキーワードに掲げた企画を準備中である。絶対、30周年で実現させる。私自身も試されている年だ。
●「野火」塚本晋也監督作品
http://nobi-movie.com/
7/25(土)~ シネ・ウインドにて上映
前売券1300円 発売中
・前売券はシネ・ウインド及びシネ・ウインドネットショップのほか、下記店舗でもお取扱いしています(販売状況・残数は各店舗にお問い合わせください)