好きな監督の話 その1

2015年7月19日
シネ・ウインド

僕には“所謂”好きな映画監督”というのがたくさんいる。

たくさんいすぎてワケが解らなくなりそうなので、最近ではカテゴリーを決めて整理するようになった。

例えば“外国映画”の“すでに亡くなっている”というカテゴリーに分けられるのは、スタンリー・キューブリックやアルフレッド・ヒッチコック、ピエル・パオロ・パゾリーニなど。

マノエル・ド・オリヴェイラはつい最近まで“外国映画”の“存命”にカテゴリーされていたのだけれど、残念なことに、新しく分類しなおさなければならなくなった。

“日本映画”でも同じように分けている。

“すでに亡くなっている”には小津安二郎や黒澤明、本多猪四郎や実相寺明雄などが、“存命“には北野武や三池崇史、塚本晋也や井口昇などが当てはまる。

そして今月の25日から、そんな“日本映画 存命”のひとり、塚本晋也監督の最新作がシネ・ウインドで上映されるのだ!

「野火」

大岡昇平の短編小説をベースにしているこの作品は、一度、市川崑監督によって映画化されている。

船越英二を主演に起用したそれもなかなかの傑作ではあったが、塚本版は、塚本監督の作品を観たことがある人にはピンとくるだろう、より刹那的で暴力的だ。

原作をすでに読んでいた自分としては、果たしてこのテーマに塚本監督の演出が合うのかどうか、少なからず不安だった。

しかし実際に観てみると、そんな不安はいっぺんに吹き飛んでしまった。

容赦のない暴力描写は、規制で雁字絡めの昨今のテレビ番組などでは決して描ききれない戦争の残酷さを、まざまざと我々に見せつける。

そして、その暴力の中に滑稽さが含まれるのも塚本監督の演出の特徴で、ここには、戦争の持つ不条理さを浮き彫りにさせるブラックユーモアを垣間見ることができる。

この残酷描写によって「野火」は、映倫から〈PG12〉の指定を受けている。

これは規制ではない。

むしろ好都合である。

なぜなら、12歳未満の少年少女は、保護者と共にこの映画を観、戦争というものについて改めて語らうことができるからだ。

世相騒然たる昨今ではあるが、だからこそ今、観なけばならない映画があるのではないだろうか?

nobi

◎「野火」http://nobi-movie.com/

シネ・ウインド上映 7月25日(土)~8月21日(金)

7/25(土)~7/31(金) 10:00~11:35 / 16:45~18:20

8/1(土)~8/7(金)  10:00~11:35 / 14:20~15:55

8/8(土)~8/14(金)  19:20~20:55

8/15(土)~8/21(金)  16:35~18:10

 

★前売券1300円 発売中 ※7/24迄

★「中学・高校生 入場料特別割引」を実施します。

通常、中学生1000円・高校生1500円のところ → 「野火」に限り、中学・高校生 800円

中学・高校生の皆さん、この機会にぜひご来場ください!!