4月14日より新潟市美術館で開催中の「滋賀県立近代美術館所蔵 小倉遊亀 絵筆にこめた愛」展。その開場式&内覧会に行きました(2018/4/13)。
小倉遊亀(おぐら ゆき)は、1895年(明治28年)滋賀県大津市生まれ。
25歳の時に安田靫彦に師事、日本画家としての道を歩み始め、31歳で院展に初入選。日本の伝統を重んじつつも、常に時代の清新な感覚を取り入れ、明るく生命感あふれる独自の世界を築き上げました。
1980年には文化勲章を受章、2000年に105歳で没しますが、女性画家のパイオニアの一人として、その存在は近代日本画の歴史に燦然と輝いています。
本展は、国内最大規模の小倉遊亀コレクションを所蔵する滋賀県立近代美術館の全面協力により、珠玉の名品約50点を展示、初期から晩年にいたる画業の全貌が紹介されます。 (資料より)
開場式では、篠田昭新潟市長と、小倉遊亀の孫で画廊鉄樹の代表取締役・小倉健一さん、滋賀県立近代美術館館長・村田和彦さん、この4月に就任したばかりの新潟市美術館・前山裕司館長の挨拶がありました。
小倉健一さんは、「小倉遊亀の夫であり師である小倉鉄樹は新潟県青海町(現・糸魚川市)出身であり、直接の師ではないが小倉遊亀が大変尊敬していた小林古径先生も新潟県出身。本展では古径先生から譲っていただいた古九谷の大徳利も展示している。ゆかりの深い新潟県で展覧会が開催されるのは光栄なこと」と挨拶されました。
滋賀県立近代美術館・村田館長は、「小倉遊亀さんの作品は滋賀県立近代美術館の宝もの。小倉遊亀さんの作品とその存在は滋賀県民にとって誇り」と語り、また、新潟と滋賀はいろいろ関係があるとし、近江商人による北前船の寄港地であること、新潟には滋賀県人会があって熱心に活動していること、宴会の締めに歌うほど滋賀に根付いている「琵琶湖周航の歌」の原曲「ひつじぐさ」を作曲した吉田千秋は新潟生まれであることなどを、挙げられました。
滋賀県立近代美術館には小倉遊亀さん関連の収蔵品が60点余りありますが、今回の展覧会では、そのうちの約50点が展示されます。昨年4月から改装のために休館しているからこそ、実現した企画であるとのこと。
開場式後に展示を拝見しました。
小倉遊亀さんの作品をこんなに一堂に見たのは初めてで、タッチは作品によって様々なのですが、ひとりの画家の変遷が伝わってくるような面白さがありました。
絵の中の時代や風物、洋服や家具などがとても素敵で、描かれた焼き物を一緒に展示する工夫も効いてます。
特に印象に残ったのは、「娘」というタイトルの作品(前期展示)。緑色の地の大柄な着物を着て籐椅子に足を組んで座る女性。クイっと上がった眉毛と目じり、少し斜めにクッと結ばれた小さな口元。勝ち気で自信に溢れ、当時の現代っ子なのだろうなぁと思わせる。脇に描かれたガラス器やレースのテーブル掛けも、繊細なのに自己主張が強い。どんなに時代が邪魔をしようと、きっと切り開いて我が道を行く。「女性」には本来、そんな強さが備わっているよと、主張しているような気がします。
この作品を含め、前期・後期で展示替えが結構あるので、できれば二回は足を運びたいところです。皆さんもぜひ!
※前期(4/14~5/13)、後期(5/15~6/10)
(月刊ウインド編集部 市川明美)
※月刊ウインド6月号(6/1発行号)にも記事を掲載します
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●新潟市美術館「滋賀県立近代美術館所蔵 小倉遊亀 絵筆にこめた愛」
http://www.ncam.jp/exhibition/4498/
会期:2018年4月14日(土)~6月10日(日)
※会期中、一部作品の展示替えあり
時間:9時30分~18時 ※観覧券販売は17時30分まで
休館日:月曜日 ※4/30は開館
会場:新潟市美術館 (新潟市中央区西大畑町5191-9)
観覧料:一般1000円 大学・高校生800円 中学生以下無料
※( )内は団体(20名以上)・リピーター割引料金
※障がい者手帳、療育手帳をお持ちの方および一部の介助者は無料(受付で手帳を提示)
主催:小倉遊亀展実行委員会(新潟市美術館・BSN新潟放送)
特別協力:滋賀県立近代美術館
問い合わせ:新潟市美術館 TEL:025-223-1622 FAX:025-228-3051
詳しくは公式サイト参照 http://www.ncam.jp/exhibition/4498/