日本にストリート・ロックというものがあるとするなら…それはフールズのことだよ
――江戸アケミ(JAGATARA)
アンダーグラウンドのカリスマに肉薄した衝撃のドキュメンタリー
2013年1月、一人の男が横浜刑務所から出所してきた。男の名は伊藤耕。ロックバンド 〈THE FOOLS〉のボーカリスト。1980年の結成以来、伊藤とギターの川田良を中心に、複数回のメンバーチェンジを経ながらも長年に渡って活動を続けてきた〈THE FOOLS〉。拝金主義に唾を吐き、メジャーな音楽シーンとは一線を画したアティチュードがロックファンの間で熱く支持されるとともに、その高い音楽性や桁外れの破天荒さも相まってアンダーグラウンド・シーンの帝王として君臨してきた生ける伝説。本作は2012 年から現在にいたるまで〈THE FOOLS〉のステージやメンバーたちのプライベートをカメラに収め、80年代、90年代、そして21世紀へと駆け抜けた彼らの孤高の戦いを辿るドキュメンタリーである。
逮捕、トラブル、メンバーの死……壮絶な生き様を通して描かれる魂の叫び
監督はキューバの音楽事情を活き活きと描いた『Cu-Bop』(15)の高橋慎一。10代の頃から憧れ、追い続けてきた〈THE FOOLS〉に10年かけて密着。新旧メンバーやその家族、さらにはザ・クロマニヨンズの甲本ヒロト、JAGATARAのOTOやEBBYら関係者にも取材を重ね、メンバーの人生と並走し、ともに爆走しながらむきだしの魂を映像に刻みつける。伊藤の薬物による度重なる逮捕やトラブル、相次ぐメンバーの病死、そして伊藤の獄中死…・・・。何度も想像を絶する崖っぷちに立たされながらも、その都度這い上がる〈THE FOOLS〉。彼らが命を賭けて残したものは、まさに壮絶な生き様がもたらした愛と反逆の音楽だった。生きることの意味や尊さを観る者に突きつける究極の問題作にして感動作!
THE FOOLS 愚か者たちの歌《ロックンロールウインド2023》
2023/4/29~5/5
©2022 愚か者たちの歌