オープニング・ナイト〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉

オープニング・ナイト〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉
2023/10/2811/10
オープニング・ナイト〈ジョン・カサヴェデス レトロスペクティブ リプリーズ〉

有名な舞台女優マートル・ゴードンは、40歳を過ぎる今日まで、演技一筋に打ち込んできた。演出家のヴィクターや俳優のモーリスら気心の知れた仲間たちと共に「2番目の女」という劇に取り組んでいた。ある夜、公演が終わり、劇場を出る彼女はいつものように多くのファンたちに囲まれる。すると、マートルの熱狂的な女性ファンが彼女にいきなり抱きついてくる。激しい雨が降る始める中、ナンシーと名乗るその少女は、マートルが帰りの車に乗り込んでも、なおもその後を追ってくる。そして、対向車線からきた車にはねられてしまう。ナンシーは即死。事故を目の前で目撃したマートルは激しく動揺し、そのショックは彼女の心を深く傷つける。
 その日からマートルは、以前から飲んでいた酒の量がますます増え始め、神経過敏になり、
稽古も途中で中断したりするようになる。やがて、死んだナンシーの幻まで見るようになり、次第に精神のバランスを失っていく。舞台のでも演出や脚本を無視して勝手な芝居をするようになる。そして、マートルは、自分が実年齢より上のこの役を見事に演じてしまったら、自分は既に女優としての盛りを過ぎてしまったというイメージで見られてしまうのではないかという恐れを抱くようになる。
 一方でナンシーの幻は、マートルに対して日増しに狂暴になっていく。そして、ニューヨークでの公演初日。マートルは失踪してしまう。ヴィクターを始めとするスタッフは、開演までには戻るという彼女の言葉を信じ、待ち続ける。そして、客席が一杯になり、開演時間間近となった時、マートルが現れる。マートルは泥酔状態にありながらも、舞台を最後までつとめる。
客席からは大きな拍手と喝采が起こり、舞台は大成功に終わる。マートルは、演者やスタッフたちから祝福を受け、再び笑顔を取り戻すのであった。