12/2㈯~12/15㈮ ※火曜休館
2023年 日本 1時間35分 配給:新日本映画社
監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也
美術:中嶋義明 衣装:佐々木翔
音楽:石川忠 音響演出:北田雅也
出演:趣里 森山未來 塚尾桜雅 河野宏紀 利重剛 大森立嗣
戦争が、終わったんだ
焼け残った小さな居酒屋に1人で住む女(趣里)は、体を売ることを斡旋され、絶望から抗うこともできずに日々をやり過ごしていた。そんなある日、空襲で家族を失った子どもが女の暮らす居酒屋へ食べ物を盗みに入り込む。それ以来、子どもはそこへ入り浸るようになり、女は子どもとの交流を通してほのかな光を見いだしていく。
『野火』『斬、』を手掛けた塚本晋也監督の最新作。物語の舞台は終戦直後の闇市、戦後の騒乱の中で生き延びた人々が抱える痛みと闇が描き出される。主人公の女を現在放送中の朝ドラでも主役を務める趣里が演じる。戦争孤児役を塚尾桜雅は演じ、ミステリアスな雰囲気漂う片腕が動かない謎の男役を森山未來が演じている。
戦争は終わり、常に命を脅かされなれなければならない一番苦しい時期は過ぎ去ったはずなのに、生活はずっと苦しい。そして胸中には戦時中と変わらない絶望感が巣くったまま…。そんな重苦しい状況下でも、わずかな光に希望を得て生きていく人々の人間模様がリアルに描き出されている。(田中)(月刊ウインド2023年12月号より)