上映企画部だより 2024/9/9

若槻

毎週土曜日はシネ・ウインド会員による運営機関「上映企画部」打ち合わせの日です。

韓国と日本の映画界 

 「実話」を基にした映画が好きだ。先日、韓国映画の『ソウルの春』を観た。1970年代に起きたクーデターについてフィクションを交えながら描くポリティカルサスペンス。言わずもがなクオリティは一級品。自国の負の歴史をこんなに面白いエンターテインメント映画に仕上げる韓国映画界の底力には圧倒される。韓国の歴史に疎い筆者でも俳優陣の名演(なんと言ってもファン・ジョンミンが素晴らしい)でスクリーンに釘付けになってしまいました。権力に溺れ、軍事クーデターを企てるファン・ジョンミンの悪役ぶりは必見で次々と政府関係者を懐柔していき事態を掌握していく様はスリリングで憎たらしい!彼に立ち向かう軍人チョン・ウソンの息詰まるバトルに一喜一憂。映画館で観て正解でした。

 なにより驚きなのはこれが韓国で大ヒットしたという事。政治をテーマにしてキャストの殆どが中高年男性。このタイプの映画でスポンサーが付いて予算が集まり、ちゃんとヒットする韓国映画が羨ましい。日本ではまずあり得ないでしょう。過去にシネ・ウインドでも上映した2019年の邦画『新聞記者』も実現にかなり時間を要し紆余曲折があったと聞いています。

 しかし、そんな日本映画界にも明るい兆しが見られます。去年、シネ・ウインドでも大盛況だった『福田村事件』。関東大震災時の朝鮮人虐殺を描いた作品で井浦新、永山瑛太、田中麗奈など豪華俳優陣が集結しミニシアターから日本アカデミー賞まで辿り着いた本作。シネ・ウインドでも9月13日まで再上映しています。

 去年、私が観に行った時お客さんが受付まで溢れかえっていたのを覚えています。関心がある人が沢山いたと実感し、正直とても驚きましたが、映画だけを観て知った気になるのも良くない。関連書籍は何冊も発売されています。私も買っておいて手付かずだった加藤直樹著の「九月、東京の路上で」を読もうと思う。

 今週の企画会議は周年祭のキャッチコピー案を考えていました。こういったものはドンドンアイデアを出していけば自然と形になっていくもの。思いついた人から発言していき候補が溜まっていきます。とはいえ、同じメンバーで議論が白熱すると客観視する事が難しくなっていきます。最初は「オオ!良いね!」となっていても時間が経つと「アレ?」と思う事も…

 金曜日の会員総会、果たして反応はどうか…

(渋谷恭平)

シネ・ウインド上映企画部では、上映作品の選定や、作品紹介をお手伝いしてくれる方を募集しています。上映企画会議は毎週土曜19時より、事務所2Fフリースペースにて。映画館の運営に興味がある方、見学・入部など、お気軽に劇場スタッフにお声掛けください。