僕は今年で29歳になる。
1986年生まれだから、シネ・ウインドの1歳後輩だ。
子供の頃に漠然と考えていた29歳の自分は、結婚をして、子供もいて、もっとしっかりしていたように思うのだけれど、どうやら現実というのは残酷なものらしい、精神年齢は中学2年生のまま、体ばかり大きくなってしまった。
これではいかん。
30歳になる前にもっとちゃんとした大人にならなければ、という不安にかられ、じゃあちゃんとした大人ってなんだろうと導きだした答えが、シェイクスピアを読むということだった。
なぜシェイクスピアなのか?
インテリぶりたかったというのも理由のひとつではあるが、僕の好きな黒澤明監督が、シェイクスピア劇を日本の時代劇に置き換えてよく映画化していたというのが最大の理由である。
「蜘蛛巣城」の原作となった『マクベス』は読んだ。
見事に映像化されていて驚いた。
そして今現在、読んでいる『リア王』が、ちょうど1985年6月に公開された「乱」の原作であるという偶然。
これは是非ともブログに書いておかなければと思い、今こうして筆を進めているわけである。
「乱」。
観たのはずいぶん昔だから、あまり記憶に残っていないのだけれど、黒澤監督の作品で、カラーのものを観たのはこれが初めてだったと思う。
モノクロ作品の頃と、ずいぶん雰囲気が違って見えた。
三船敏郎が出ていないと、なぜか困惑したことは今でも覚えている
「ゴジラ」や「地球防衛軍」の本多猪四郎監督が”演出補佐”という肩書きで参加していたのも、自分にとっては斬新だった(僕は本多監督も大好きだ!
30歳になる前に、深みのある大人になろうと思って読み始めたシェイクスピアが、今年30歳になるシネ・ウインドとこんな風に関わってくるとは、なんとも運命めいたものを感じてしまう。
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〈ちょこっと追加コーナー〉
シェイクスピアといえば……、やはりピーター・ブルックでしょう。
(たぶんに趣味の入った強引な宣伝ですが…笑)
ピーター・ブルックは1925年ロンドン生まれ。21歳で最年少招待演出家として名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに招かれ、その後も多数のシェイクスピア劇を演出。また、映画監督としても活躍しています。
シネ・ウインドで6/6(土)~12(金)上映のドキュメンタリー映画「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」では、世界中の観客を魅了し「魔術的舞台」とも呼ばれる演出家ピーター・ブルックの、創作現場の様子を見ることができます。
床に敷かれたカーペットに、1本の目に見えない「ロープ」を引くところから始まるワークショップ。ブルックのシンプルで深い言葉が、映画を見る私たちをも澄んだ深淵に導きます。ぜひ映画館でご体感ください。(Ichikawa)
◎「ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古」http://www.peterbrook.jp/
6/6(土)~12(金) 18:45~20:20
★6/7(日)は、予告編なしで上映後、劇団ハンニャーズ主宰 中嶋かねまさ さんのトークイベントがあります。
※トークは、当日映画鑑賞の方のみ、ご参加いただけます。