ブログを書くために1985年10月に日本で公開された映画を検索していたら、僕の大好きな「エル・スール」がヒットした。
製作年は1983年なのだが、せっかくなのでここに載せておこう。
短編を除けば、これまで3作品しか世に送り出していない寡作な映画監督、ビクトル・エリセの長編2作目である。
数年前にシネ・ウインドでエリセの特集上映をした際に観たのが初めてだったのだが、そのあまりに繊細な作風にうっとりとしてしまったことを今でも覚えている。
素晴らしいのは音響効果だ。
本のページをめくる音、地面を歩く砂利の音、風の音、水の音、あらゆる音が耳に心地良く響いてくる。
普段の日常生活では、こういった音のひとつひとつを意識することなどないけれど、映画というある種の”非日常”の中で、音は驚くほどその存在を主張してくるのだ。
そして映画の中の音というのは、同時録音でもないかぎり、ほとんどが人工的に作られたものである。
風の音や水の音でさえ、別の場所で収録したものを後から被せている場合がある。
つまり、その場で発せられているわけでもない音を、我々はその場で発せられたと錯覚しているわけだ。
しかし、作られた嘘の音の方が、本物の音よりも本物らしく、心地良く耳に響いてくる。
これは音に限ったことではない。
映画というものは、そのほとんどが嘘の作りものだ。
だが時として、真実よりも真実味を持って我々に訴えかけてくることがある。
映画の中の音。
ストーリーに集中してしまうとどうしても忘れがちになってしまうけれど、映像に被せられた音を意識しながら映画を観るというのも一興ではないだろうか。
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《ちょっとひとこと》
スペインの監督ビクトル・エリセの「エル・スール」は、「ミツバチのささやき」と共に、シネ・ウインドで1986年と2010年に上映しています。
30年記念のひとつとして、シネ・ウインドの過去上映作品の一覧をホームページに掲載するべく、会員有志が作業中です。完成分は順次掲載していますので、どうぞご覧ください。「こんな作品も上映してたのかぁ」と驚くかもしれませんよ。
※HPトップの左上「上映作品」→「過去上映作品」
★10月11日(日)に実施される「新潟シティマラソン」に、シネ・ウインドから有志が参加します。ランナーは井上支配人をはじめ、13名。
シネ・ウインドオリジナルTシャツを着て走ります。
当日、一緒に応援してくださる方を募集しています。時間や集合場所などをご案内しますので、シネ・ウインドまでお申し出ください。
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※2500円 色:ブラック ドライ素材 サイズ:S・M・L
★次回のシネ・ウインド30年目プロジェクト会議は、10月6日(火)の夜です。
シネ・ウインド30周年祭実行委員会も活動を始めました。
メンバー随時募集中! ぜひご参加ください。
●10月6日(火) 19時~ シネ・ウインド2階 フリースペースにて
(Ichikawa)