日本美術は門外漢だが、一部の江戸絵画はとてもツボで、ここ5~6年は、実際に展覧会に足を運び積極的に楽しむようになった。
今年は、江戸時代の天才絵師・伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の生誕300年。
ちょうど『同い年の天才絵師 若冲と蕪村』展 (3/18〜5/10 サントリー美術館)開催中でもあり、本屋に行くと若冲特集の雑誌がいくつも並んでいる。
若冲の図録や特集本はたくさん持っているのだが、見かけるとつい手に取ってしまう。(結局、Penを買った)
ということで、今回は筆者の若冲遍歴を紹介していこうと思います。
若冲との出会い
とある日、東京出張の帰りに駅の書店で買ったBRUTUS。何の予備知識もないまま、新幹線の車中で「特集;若冲を見たか?」のページをめくった。これは衝撃だった。
アメリカ人の収集家 ジョー・プライス のコレクションで90年代後半から知名度と人気を高めた、とか。
2000年に京都国立博物館が没後200年を記念した特別展覧会を開催、爆発的ブームが起こった、とか。
宇多田ヒカル「SAKURAドロップス」のPVは若冲にインスパイアされている、とか。
この年(2006年)は第2次ブームで若冲に関する展示が各地で行われている、とか。
みんなこのBRUTUSで知った。ユリイカ!(我、若冲を発見せり)
そして、それから
年月 | イベント・メディア | コメント |
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2006年8月 | 若冲と江戸絵画展(東京国立博物館) | 結局観に行けず、チラシだけ入手 |
2007年3月 | 和楽(小学館) | 「若冲に恋したアメリカ人ジョー・D・プライス物語」の連載を読むために定期購読 |
2008年7月 | 「金刀比羅宮 書院の美」展(東京藝術大学美術館) | 展示されていた『花丸図』は一部を除き、高精度デジタル写真の複製。素人目に見分けはつかなかったし、雰囲気も出ていたが、、、 |
2008年12月 | 朝日新聞(12月21日) | 「若冲が晩年に描いたと見られる『象と鯨図屏風』が北陸地方の旧家で見つかった」記事を切り抜き |
2009年1月 | 「夢の美術館 江戸の名画100選」(NHK・BS) | 正月にNHKハイビジョンで6時間30分に渡って放送。これで琳派の絵師、作品を多く知る。若冲は「第三部 個性爆発 奇想の絵」に登場。 |
2009年10月 | 皇室の名宝―日本美の華―(東京国立博物館) | 動植綵絵 (どうしょくさいえ) 全30幅。初めて実物の若冲の絵を見る。濃密さと色彩に圧倒された。 |
2009年11月 | 若冲ワンダーランド(ミホミュージアム) | 新聞記事で知った大作「象と鯨図屏風」が初公開とあって滋賀県に行く!細密画とはまた異なる水墨画の魅力を発見 |
2009年11月 | ユリイカ2009年11月号(青土社) | 特集=若冲 〈動植綵絵〉・モザイク画・〈象と鯨図屏風〉…永遠に新しい絵師のすべて |
2010年1月 | 「夢の若冲・傑作10選」(NHK・日曜美術館) | 「徹底した細密描写」や「徹底したデフォルメ」を描かれた生き物たちを分類 |
2011年4月 | 「若冲ミラクルワールド」(NHK・BS) | 90分4回シリーズで伊藤若冲の超絶技巧の秘密を解き明かした(嵐の大野智が好ナビゲート)※ハードディスクレコーダの空きがなくて標準画質で録画したのが残念。求む、再放送! |
2012年2月 | Googleロゴ(2月8日) (出典:google.co.jp) | 若冲と筆者が同じ誕生日と知る! |
2012年11月 | 「若冲・応挙展」(新潟市会津八一記念館) | 京都相国寺の所蔵品を展示。手ぬぐいを買った。 |
2013年7月 | 若冲が来てくれました(福島県立美術館) | 東日本大震災復興支援 特別展。前期と後期と展示が異なるため2回行った。妻がサイン会でプライス夫妻と握手。展示会チラシを大量に持ち帰り(美術館了解済)、新潟市内各所で配布。シネ・ウインドにも置かせてもらった。 |
2014年9月 | 伊藤若冲と京の美術 (新潟県立万代島美術館) | 細見美術館所蔵の伊藤若冲作品のほぼすべてが出品。初期から晩年までの画業が辿れる。 |
こうして書き出してみると、出会いから毎年、何らかの機会で若冲に接し続けていることになる。できれば今年も、、、と願っている次第である。
出会いは偶然?
BRUTUSで若冲に出会い、より深く若冲の魅力を知り、そこから琳派、北斎、さらにときどきは現代美術まで、趣味の守備範囲が広がったのは嬉しい。
出会いは偶然。かもしれないが、その多くは自らの行動によってもたらされるものだと思う。
ネット、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、媒体を問わず、能動的に受けとめることで、自分が知らなかった知識を得たり、新しい作品に興味を抱くきっかけができたり、楽しみがさらに広がる。
映画も然り。映画館で全く予備知識のなかった作品の予告篇を見て、なんだか気になって、実際に観てファンになる、という経験をお持ちではないだろうか。
昨年、シネ・ウインドでホドロフスキーとの出会いがあった。「失敗が何だ?だから、どうした?」(『ホドロフスキーのDUNE』)観終わった時には、夫婦ともども「魂の戦士」になっていた。監督作品は『リアリティのダンス』しか観た事がないので、今後、旧作を発掘していきたい。
先ごろ製作発表された新作も楽しみである。
あるフランスの配給会社の社長はホドロフスキーの新作に出資してもいいが、86歳の監督なら保険をどう考えているのかと。
「私は死なない」と書いてサインするからそれを渡せというホドロフスキーの指示が。
不死身の監督が製作資金を募っています。
http://t.co/GiQBTdv4Td
— 浅井隆 ASAI Takashi (@asaitakashi) 2015, 3月 10
待ちに待った春。街に出て、そして(たまには)シネ・ウインドで映画を見て、思いがけない発見や出会いを見つけていただきたい。
最後に
美術つながりということで、少し強引ですが、、、
みんなのアムステルダム国立美術館へ
●4/18土~5/1金
★初日 新潟市美術館 塩田純一館長トーク
実は一昨年(2013年10月)アムステルダムに旅行しました。
が、予定が合わず国立美術館には寄れなかったので是非この作品で追体験したいと思います。
それでは、また!