1月21日(木)、Noism1×Noism2合同公演 劇的舞踊「カルメン」再演のマスコミ向け公開リハーサルが開催された(於りゅーとぴあ・劇場)。
公開されたのは2幕の冒頭部。客席から見つめる者にとっては、圧倒的な舞踊家たちの身体性と舞台美術・音楽との噛み合い方に息を呑むばかりだが、曲が終わると同時に演出振付・金森穣氏の指摘が入る。照明や舞踊家の登場のタイミング・角度、音の響き方。細部にまで心を配り、舞台を更なる高みへと上げようとする金森氏と、それに応える舞踊家・スタッフの真摯な作業に胸を打たれる。それぞれの役柄を演じつつ、舞台転換も行う出演者たちに求められる集中力はどれ程のものだろう。入念な調整を経て再度演じられる場面は、より研ぎ澄まされたものに変わっていることに、気付かされる。
リハーサルを抜けて囲み取材を受ける金森氏。ここまでの舞台の仕上がりについて「スタジオでの稽古では上々。徹底的に追い込んだから、初演時に参加したメンバーは成熟しているし、新しいメンバーもいい所まで来ている。でも劇場に移ると、また一からの創造になる。時間がない中で一気にやらないと」と語る。
2014年の初演時の記憶も新しい中での“再演”について、「日本の劇場文化は未成熟。新しい演目には人が集まるけれど、それは消費文化。伝統芸能や歌舞伎のように繰り返し上演される演目をつくり、今回の配役はどうなるんだろう、と楽しむような土壌を作りたい」とその意義を語る。
2016年初夏に劇的舞踊第3弾「ラ・バヤデール」(脚本・平田オリザ)を控える中で、現Noismメンバーが“劇場”という大きな舞台で「カルメン」を演じることが必要と強調し、「夏に向けて楽しみ。本当にいい所まで来ている」と笑顔を見せた。
取材中に金森氏が口にした「舞踊家は日々、昨日の自分と闘い続けるもの」ということばが印象深い。
またNoism制作スタッフも、「初の試みとして『カルメン』の特設サイト http://noism.jp/carmen2016/ を作り、公演前に配役や相関図が見られるよう工夫した。前回公演を観た人も、初めての人も、より深く“再演”を楽しめるはず」。
「無駄を削いで、シンプルになったからより本質が見えやすくなったはず。(初演時とは)印象が大分違うかも」と金森氏が語る、創造性豊かな 劇的舞踊「カルメン」再演に、期待が高まる。
(月刊ウインド編集部 久志田渉)
※取材記事は本番の感想を交え、月刊ウインド3月号に掲載予定
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渦巻く愛と死、理性と野性、虚構と現実…複雑に絡み合う。
愛と死の物語の“物語”
Noism1×Noism2合同公演 劇的舞踊『カルメン』再演 新潟公演
●2016年1月29日(金)19:00、30日(土)17:00、31日(日) 15:00
演出振付:金森穣(Noism 芸術監督)
音楽:G. ビゼー《カルメン》 オーケストラ版&組曲版&交響曲版より
衣裳:Eatable of Many Orders
家具:近藤正樹
映像:遠藤龍
出演:Noism1 & Noism2、奥野晃士(SPAC- 静岡県舞台芸術センター)
※公演特設サイト http://noism.jp/npe/carmen_2016_niigata/
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
入場料:(全席指定)
一般 S席 4000円 A席 3000円
学生 S席 3200円 A席 2400円
※学生券はN-pac mate等、他の割引と併用不可。当日受付にて学生証掲示。
チケット取扱い:
りゅーとぴあ(窓口・電話・オンライン)
チケット専用ダイヤル 025-224-5521(11:00-19:00、休館日除く)
オンライン・チケット http://www.ticket.ne.jp/ryutopiaticket/
イープラス http://eplus.jp/ (PC・MB共通)
★「カルメン」特設サイト → http://noism.jp/carmen2016/
物語のあらすじ、キャスティング、登場人物紹介やキャラクター相関図など、公演をさらに楽しむためのコンテンツも。
★Noism写真集『JO KANAMORI / NOISM by KISHIN』発刊!
10年にわたる舞台のすべてを写真界の巨匠・篠山紀信が撮り続けた奇跡の写真集!!
定価:4300円+税 192ページ・フルカラー
発行・発売:パイインターナショナル 発売日:2016年1/16
☆1/30(土)は公演終了後、『JO KANAMORI / NOISM by KISHIN』金森穣サイン会あり
http://noism.jp/noism_by_kishin_sign/
★劇的舞踊「カルメン」再演 神奈川公演
日時:2016年2/19(金)- 21(日) 会場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
http://noism.jp/npe/carmen_2016_kanagawa/
■映像を担当されている遠藤龍さんは、シネ・ウインドイメージムービー(予告編と一緒に上映している1分間ムービー)の制作者。月刊ウインド2月号(2/1発行)に、イメージムービー完成記念インタビューが掲載されますので、ぜひお読みください。
■カルメンを演じる井関佐和子さんのインタビューを、シネ・ウインドホームページのアーカイブスでお読みいただくことができます(月刊ウインド2015年10月号に掲載したもの) → https://www.cinewind.com/intv30/11-noism/
(ページ構成 Akemi Ichikawa)