1/23、新潟市役所で行われた「第2回ニイガタ安吾賞 受賞者発表記者会見」に行ってきました。
「安吾賞」は、安吾生誕100年の2006年、安吾の精神を具現化しさまざまな分野で挑戦し続けることにより、私たち日本人に渇を入れた個人または団体を表彰する賞として創設されたもの。文学賞ではなく、「生き様」賞だというのが大きな特徴です。
2015年に第10回を数えた「安吾賞」は、2016年より、対象を「新潟市ゆかりの人」とすることでこれまで以上に新潟市民に身近な「ニイガタ安吾賞」へと生まれ変わりました。
第2回の今回は、46件の推薦があったとのこと。
この日、篠田新潟市長から発表された「第2回ニイガタ安吾賞」受賞者は、野内隆裕さん(路地連新潟代表、日和山五合目館長)でした。
おめでとうございます。
「まちあるき」の文化を開拓、広めてきた野内隆裕さん。
まだ注目度が低く、その楽しさが理解されていない頃から、自分の信念を貫ぬいて「まちあるき」に取り組み、地域の魅力発信を継続してきた姿が、「現代の安吾」にふさわしいと、選考理由が語られました。
野内隆裕(のうち たかひろ)さん(写真)は、1968年、新潟市中央区下町(しもまち)生まれ。
1997年にwebサイト「にいがたなじらねっと」を開設し、中央区下町を中心とした新潟の町の魅力発信をスタート。2002年、新潟の小路に着目し、「案内板」と「地図」を自主制作、「まちあるき」案内を始める。2008年、「路地連新潟」結成。以後、行政のプロジェクトに協力し、まちあるきのコース・案内板・地図の制作に携わる。2009年より日和山の再生整備に携わり、2014年、日和山の中腹にカフェと歴史資料館を兼ねたまちあるきの拠点「日和山五合目 hiyoriyama coffee」をオープン。2013年「新潟の町・小路めぐり」、2014年「みなとまち新潟・進化する日和山物語」でグッドデザイン賞受賞。2014年、にいがた観光カリスマ就任。2016年、NHK「ブラタモリ」新潟編にて案内人を務める。同年、まちづくり功労者国土交通大臣表彰受賞。(資料より)。
日和山
齋藤正行ニイガタ安吾賞選考委員会 委員長(シネ・ウインド代表/安吾の会世話人代表)は、「ないものねだりではなく、自分たちの地域にあるものを再発見しようというのが野内さんのコンセプト」とし、「坂口安吾に『日本文化私観』という作品がある。ブルーノ・タウトの同題の書『日本文化私観』に対して、圧倒的異議申し立てをしたもの。ブルーノ・タウトが新潟市のことを俗悪と批判したことに対し『私たちは私たちでちゃんと日本を再発見する』と書いた。野内さんのこの20年の活動は、それに等しいくらいの実績だと思う。自分たちのことは自分たちで再発見しよう、というところを評価した」と、選考理由を説明しました。
坂口安吾の長男である坂口綱男さん(安吾 風の館 館長)も、「野内さんの活動を知り、とても共感しました、護国神社境内から海を見下ろすように立つ詩碑に『ふるさとは 語ることなし』と刻まれているように、野内さんも、この地を愛し、より多くの方に新潟の町を楽しんでもらいたいと思っていると感じたからです。作家・坂口安吾とその作品を知っていただくことは、安吾を育んだ新潟を知っていただくことであり、それは何より、この地に生まれた安吾の願いでもあります。時が移り、堀が埋められ、建物が変わっても、そこに住む人の根本は変わらない。だから、思いがけない発見があり、それが町を巡る楽しさなのでしょう。目の前にあるものより、探り当てる喜びを、野内さんの活動は教えてくれた気がします」とコメントを寄せました。
今後、3月頃に授賞式と市民交流事業を行う予定とのこと。
市報などで広報されるとのことなので、楽しみに待ちたいです。
(月刊ウインド編集部 市川明美)
※月刊ウインド3月号(3/1発行)に取材記事を掲載します。