流麻溝十五号

流麻溝十五号
2025/2/82/14
流麻溝十五号

彼女たちは〈自由な思想〉を持っただけで
政治犯として、ある島に送られた──

1953年、自由を口にするものは政治犯としてすぐに捕まる時代。政治的弾圧が続く中、罪を課せられた者は思想改造および教育・更生のため緑島に収監されていた。連行された者たちは、名前ではなく番号に置き換えられ、囚人として「新生訓導処」に監禁、重労働を課せられる日々を余儀なくされた。

純粋な心を持つ、絵を描くことが好きな高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)。ひとりの子どもが生まれて間もなく投獄された正義感の強い、看護師・嚴水霞(イェン・シュェイシア)。妹を拷問から守るため自首して囚人となった陳萍(チェン・ピン)。

次々と迫る不条理に対しても思考は止めず台湾語、北京語、日本語などあらゆる言語を駆使しながら一日一日を生き延びようと過ごす人々。時の為政者は何をしてきたのか。考えることは罪なのか。これまで閉ざされていた歴史に、また一つ光が射す。


映画のタイトルとなった『流麻溝十五号(原題:流麻溝十五號」)』は、身分も年齢も違う女性たちが収容されていた住所である。当時、政治思想犯として拘留されていた者の中には14歳の子どももいた。今回、監督を務めたのはこれまでも一貫してジェンダー平等の視点から数々の作品を手掛けてきた周美玲(ゼロ・チョウ)。高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)を演じたのはシンガーソングライターとしても活動する余佩真(ユー・ペイチェン)。モダンダンサー・陳萍(チェン・ピン)を演じるのは数多くの作品に出演している連俞涵(リェン・ユーハン)。一児の母で看護師でもある嚴水霞(イェン・シュェイシア)を演じるのは、2008年に日本公開した周美玲監督作『彷徨う花たち(原題:漂浪青春)』で映画初出演を果たし、女優業にとどまらず、監督、脚本家、作家と活躍する徐麗雯(シュー・リーウェン)。

民主化の道を歩み始めて37年―。台湾初の女性政治犯を扱った映画を日本公開する。