2023/9/2~9/8
© 1936 Gaumont
どん底から出ていく男と、
どん底へ落ちていく男の友情を、
安宿に暮らす人々の群像のなかで描いた映画史上の名作。
ロシア文学を代表するゴーリキーの名作戯曲を、ジャン・ルノワール監督が脚色して映画化。当時存命だったゴーリキーの許諾を得て、原作にはない、ギャンブル依存症の男爵がすべてを失い、安宿に暮らすようになるまでのエピソードを付け加えた。男爵が全財産を失う前夜に、その邸宅に忍び込んだ、親の代からの泥棒ペーペル。ふたりが出会い、意気投合することにより、物語は階級を越えた人間同士の友情へと鮮やかな光彩を帯びていく。 泥棒ペーペルを名優ジャン・ギャバン、男爵をフランス演劇界の至宝ルイ・ジューヴェが演じ、第1回ルイ・デリュック賞を受賞したルノワールの出世作である。
「悪党だから天罰が下ったのさ」「どん底の暮らしが原因だ」
強欲な家主が営む、間仕切りもない木賃宿。家主の年の離れた妻は、泥棒ペーペルと恋仲で、その妹も秘かに彼を慕っている。ギャンブルですべてを失った男爵、飲んだくれの俳優、アコーディオン弾き、恋愛小説に夢中の娼婦、そして謎の老人…。どん底の暮らしのなかで、ここから抜け出すことを夢見るペーペルと、ここを人生の終着点と諦観する男爵、対照的なふたりとその周囲の人間模様が展開していく。