4/20㈯~4/26㈮ ※火曜休館
車社会である新潟ならではの、安全意識向上を願う限定特集上映となります、「春の交通安全上映2024」では、その真摯な目論見に相応しい2作品、『ザ・ドライバー 4Kレストア版』と『悪魔の追跡 デジタルリマスター版』の高画質公開となります。先日発表された調査によりますと、信号機のない横断歩道での一時停止率は新潟が全国最低だったとのことです。由々しきことですね。走行中にルームミラーで化粧直しだとか、味処探しに夢中でわき見運転だとか、いよいよ許されませんね。全国の運転手たちの背筋を正し、道路交通の安全・円滑が徹底されるべく、ドライヴィング映画の傑作を鮮烈上映する企画となります。
男映画の第一人者ことウォルター・ヒルが、敬愛するジョン・フォード西部劇へのオマージュを込めて脚本と監督を手掛けたカーアクション。時代遅れの生き方を貫くような独りの男が、ロサンゼルスの夜を疾駆する映画感性には、ニコラス・ウィンディング・レフン『ドライヴ』、エドガー・ライト『ベイビー・ドライバー』へと通じて繋がるように、気骨稜稜のタフネスと集中力が宿っている。また主演したライアン・オニールは昨年12月に82歳で亡くなったため、追悼上映のかたちともなりました。また彼の逮捕に執念を燃やす刑事役にはブルース・ダーン。シネ・ウインド上映企画部内の一番人気女優であるローラ・ダーンの実父であります。そのような巡り合わせから、本作のリヴァイヴァルは新潟初公開となりました。アメリカの犯罪者たちの逃亡に加担する、寡黙なハンドル捌きに感化され、安全運転意識が高まらずにはいられません。
謎めいた殺人儀式を目撃したために、サタニック・カルト教団の追跡を受けることとなる戦々恐々のアメリカン・スリラー『悪魔の追跡』もエンジン全開で高画質公開。製作当時『ローズマリーの赤ちゃん』や『ウィッカーマン』といった悪魔学やカルト集団が絡む恐怖映画が台頭する潮流があり、同じく製作熱が高まっていたカースタントを掛け合わせ、アメリカらしい緊張感あふれる命懸け競争映画が完成した。『エクソシスト』や『オーメン』の新作が公開されている昨今、この映画を再上映して交通安全を呼び掛けることが出来るなんて、乙なものじゃあないですか。教団が放った蛇に苦しめられ、キャンピングカーを駆り出すピーター・フォンダとウォーレン・オーツのペダルの踏み込みっぷりに感化され、危険予測能力が高まらずにはいられません。(宇尾地米人)