【七里圭監督3作品上映】

2025年2月20日
若槻

3/1㈯~3/14㈮ ※火曜休館

(21年前の)気鋭の新人七里圭監督デビュー作

 高橋伴明監督『夜明けまで、バス停で』(22)『桐島です』(25)等脚本家としても活躍中の梶原阿貴を主役に抜擢し、大森南朋、佐藤充、三浦友和といった名優が脇を固め、作品の世界観を決定づける侘美秀俊の音楽、伝説の名カメラマンたむらまさきが撮影を担当。「映画監督七里圭」堂々たるデビュー作品、となるはずが、諸事情により公開は無期延期に(その後2004年に劇場公開)。何とも不幸な生い立ちを持った本作が、この度化粧直し(デジタルリマスター)を施し再び上映される僥倖を祝いたい。

 ウラ話を一つ。当館では18周年祭(2003年11月23日)「青山真治特集(仮)」の折に青山監督セレクトの覆面上映企画で(非公式ながら)本作をどこよりも早く上映しました。

【午後6時の秀作選】第7弾。どうぞお見逃しなく。

吉増剛造 × 空間現代 × 七里圭

 日本を代表する現代詩人吉増剛造と京都を拠点に活動するオルタナティブスリーピースバンド空間現代が2019年、彼らのアジト的ライブハウス「外」で行なった朗読パフォーマンス《背》を映画監督七里圭が撮影したライブドキュメンタリー作品。

 かつて津波を引き起こした海に面する宿の小部屋で窓の向こうの海に浮かぶ霊島金華山を眺めながら詠んだ詩を、声の限りに叫び、ありったけの力で透明ガラスにドローイングする吉増剛造に阿吽の呼吸で暗闇から呼応する空間現代。昨年の秋に公開された『ピアニストを待ちながら』を気ぜわしくも3月まで待った理由は本作を併映したく、私たちにとって大切な時に上映したかったからです。

 8日、9日の2日間限定上映。8日は七里圭監督が来館致します。ご来場お待ち申し上げます。

光と影を紡ぐ異才 七里圭監督最新作

 真夜中の図書館に幽閉された男女5人。主人公瞬介役は今期大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演中の若手実力派井之脇海。演劇仲間の貴織役に『福田村事件』(23)『十一人の賊軍』(24)等話題作に出演が続く木竜麻生(新発田市出身)。謎の中年男出目役に斉藤陽一郎他、世界的建築家隈研吾が手掛けた村上春樹ライブラリーで全編撮影された一夜の物語。貴織のキュートなダンスにあわせてピアノを弾く瞬介の姿に黒沢清監督『トウキョウソナタ』(08)の天才ピアノ少年の面影が重なり、年嵩なのに頼りない出目の佇まいは青山真治監督”北九州サーガ3部作”の秋彦が中年になって現れたようで一番の謎人物なのに親近感が湧く。奇遇にも、蔵書に囲まれ客席にピアノが置かれている当館で、永遠に明けない一夜を彼等と過ごしてみてはいかがでしょう。

佐藤シミバチョフ

《上映時間》
『のんきな姉さん』デジタルリマスター版
 📽3/1㈯~3/7㈮ ※3/4㈫休館 
 〇18:00~19:35

『背 吉増剛造 × 空間現代』
 📽3/8㈯ 〇18:30~
 上映後舞台あいさつ
 📽3/9㈰ 〇17:00~18:10

『ピアニストを待ちながら』
 📽3/8㈯ 〇18:30~
 上映後舞台あいさつ
 📽3/9㈰~14㈮ ※3/11㈫休館
 〇18:30~19:40

 ※3/8㈯は2本立て上映