『ブルー・ウインド・ブローズ』

佐渡島を舞台に描く出会いと別れ

　佐渡島で全編撮影し、第68回ベルリン国際映画祭にてワールドプレミア上映された富名哲也監督の初長編作品がようやく劇場公開されます。

　母と妹と暮らす少年アオは、誕生日プレゼントを買いに行ったきり失踪した父を「バケモノにさらわれた」と信じていた。ある日、アオのクラスに里親に育てられている少女・小夜子が転校してくる。孤独を感じる二人は次第に心を通わせていくが、アオは小夜子が里親から暴力を受けていることを知ってしまう…。

　写真家・川島小鳥の写真集『未来ちゃん』でもお馴染みの兄妹・田中日月と田中椿が主人公アオとその妹を演じているほか、2019年に他界したミュージシャン・内田裕也とその娘でエッセイストの内田也哉子が初の父娘共演を果たした本作は、今年最初の大注目作といっても過言ではありません。また今回の上映に合わせ、富名監督が13年に岸井ゆきの主演で制作した短編映画「終点、お化け煙突まえ。」も併映します。ぜひご期待ください！(チカラ)(月刊ウインド2024年1月号より)