11/2㈯~11/15㈮ ※11/5㈫、11/12㈫休館
2024年 インド 2時間4分 配給:松竹
監督・製作:キラン・ラオ
原案:ビプラブ・ゴースワーミー
脚本:スネハ・デサイ
製作:アーミル・カーン / ジョーティー・デーシュパーンデー
撮影:ビーカス・ノゥラカー
編集:ジャビーン・マーチャント
美術:ビクラム・シン
衣装:ダルシャン・ジャラン
音楽:ラーム・サンパト
出演:ニターンシー・ゴーエル / プラティバー・ランター / スパルシュ・シュリーワースタウ / ラビ・キシャン / チャヤ・カダム
アーミル・カーンが映画に込めた想い
日本では第37回日本アカデミー賞で優秀外国作品賞を受賞するほどの人気を博し、あのスティーヴン・スピルバーグも絶賛したインドの大ヒット映画『きっと、うまくいく』。インド映画に詳しくない方でも、観たことがあるか、名前を聞いたことがあるという方も多いかもしれません。そんな映画の中で主演を務め、一際存在感を放っていた人物がいました。それが「インドの国宝」とも言われるボリウッドの名優、アーミル・カーン氏です。彼が製作を務めた『花嫁はどこへ?』はひょんなことから電車の中で入れ替わってしまった二人の花嫁の行方を追った笑いと謎が交差する至高のインド式エンターテイメント作品です。
赤いベールに身を包み全体をすっぽりと隠した二人の花嫁、プールとジャヤ。列車の中で偶然居合わせた二組のカップルはそれぞれの嫁ぎ先へ向かう途中でしたが、プールの夫はジャヤを自身の花嫁と勘違いし連れて行ってしまい、プールは置き去りにされてしまいます。起こってしまった花嫁の入れ違い事件。プールは無事に夫の元へ戻れるのか?ジャヤの怪しい行動の真意とは?
謎が謎を呼び、ジェットコースターのような衝撃展開にハラハラドキドキさせられながらも、鑑賞後は心がじんわりと温かくなる作品です。
大人気俳優であり、プロデューサーとしても知られるアーミル・カーン氏は主演作である『きっと、うまくいく』や『PK』でインドに深く根付く社会問題を提起してきました。『きっと、うまくいく』では超学歴社会のインドで熾烈な競争を強いられる学生を演じ、『PK』では地球を調査しに来た宇宙人という視点からインド人の宗教観に疑問を突き付けました。
両作品に共通しているのは自身の置かれた状況に疑問を持ち、答えを探し出し、行動すること。私たち誰もが一度は自身の前に立ち塞がる「壁」や「理不尽」というものを経験したことがあるはずです。それを仕方がないものとして受け入れるのではなく、乗り越えること。それがアーミル・カーン氏が表現し発信を続けてきたメッセージなのではないでしょうか。
今作は未だ女性の地位が低く、妻は夫の所有物という価値観が根強く残っていた2001年当時のインドを舞台にした物語です。入れ替わってしまった二人の花嫁、プールとジャヤは何を思い、どのように行動するのか。
困難な状況に置かれても決して諦めず前に進もうとする二人に勇気と感動を貰える作品『花嫁はどこへ?』はシネ・ウインドで11月2日から11月15日まで上映されます。是非ご鑑賞ください。(上映企画部兼下越インド映画クラブ 長谷川 能活)