11/30㈯~12/13㈮ ※12/3㈫,8㈰休映、10㈫休館
1986年 イギリス 1時間25分
配給:チャイルド・フィルム
監督:ジミー・T・ムラカミ
原作・脚本:レイモンド・ブリッグズ
製作:ジョン・コーツ
製作総指揮:イアン・ハーヴェイ
美術:エロル・ブライアント / リチャード・フォードリー
音楽:ロジャー・ウォーターズ
音響編集:ジョン・グリフィス
主題歌:デヴィッド・ボウイ
日本語吹替版演出:大島渚
声の出演:森繁久彌 / 加藤治子
原作は英国内で(当時)50万部ベストセラー
1982年に描かれた『風が吹くとき』は、出版されるや英国内で50万部のベストセラーとなり、10ヶ国語に翻訳され、ラジオ劇、舞台劇として上演され、国内外で大きな反響を呼んだ。原作者レイモンド・ブリッグズは当時8作の国際的ベストセラーをもち、『スノーマン(雪だるま)』の映画化は世界的成功を収め、ドラマ部門でイギリスアカデミー賞を受賞している。
各国で大ヒット!社会現象に!
英国で出版された当時、出版社は下院議員全員にこの本を送りつけた。「恐ろしく現実的でショッキングである」「全く現実や理性からほど遠いものである」など、それぞれの政治陣営により、全く正反対の反応が出され、センセーションを巻き起こした。チェルノブイリ原発事故など核を身近に感じている欧州において、この映画は高い関心を呼び、公開以来、各国で大ヒットを続け、英国では当時予定されていた下院選挙にまで影響を及ぼすといわれたほどの社会現象となっている。
しかし、ブリッグズ自身は「反核を宣伝するためでも、特別な政治的意図に基づいたものでもない。核戦争が起ったらどうなるのか、その警告はどう取り払われるのか、人々は次に何をするのかを描きたかっただけだ。この老夫婦はイギリスの労働階級の典型的な人々である。誰もが彼らと同じであろう。私の両親がまだ生きていたら、彼らのようにふるまったに違いないだろう。」と語っている。この映画は彼のいうとおり、核に対する押しつけがましいお説教など全くない。喜びや苦しみに満ちた長い歳月を乗り越え、今は深い愛情と残り少ない平穏な時間を手に入れたジムとヒルダのほのぼのとした日常が幻想的でロマンチックな回想やユーモラスなイメージをおりまぜながら展開していき、突然の原爆の風が吹き荒れる―――。
急いでシェルターを作ろう!
『風が吹くとき』はイギリスの片田舎で静かに平穏な年金暮しをしている素朴でどこにでもいるような平凡な老夫婦、ジムとヒルダの物語であり、そんな二人がある日、核爆弾が落ちるらしいと聞いたその前後の話である。妻のヒルダは政治・経済の難しい話はごめんだといい、核戦争が始まるらしいと聞いても、前の戦争でも生きのびたように爆弾ぐらいじゃくたばらない、また鉄カブトをかぶってがんばるという。夫のジムはひたすら政府を信じ、政府発行の簡易核シェルターの手引きをもとにシェルター作り始める―――やがて一瞬の閃光が全てを破壊する―――二人は何とか生きのびた。しかし、二人の体に微妙な変化が表れていく。
ジムとヒルダは私達の両親、そして私達自身。
原題は「風が吹いたら揺りかごがゆれる 枝が折れたら揺りかごが落ちる 坊やも揺りかごもみな落ちる」というマザー・グースの歌からきている。この歌は思いあがった人や野心的な人に対する戒めの歌だと云われる。二人の老夫婦は核戦争や放射能に対して無知である。ひたすら政府を信頼し、無意味ともいえるシェルター作りに精を出す。見るものにとって滑稽であり、愚かに思える。しかし、本当に滑稽で愚かなのは何なのか、深いいとおしさとユーモアで描かれるジムとヒルダはほんとうに何処にでもいる夫婦である。私たちの両親であり、私達自身でもあるかのように…。(1987年日本公開当時のチラシ解説文より)
《上映時間》
11/30㈯、12/1㈰ 〇10:00~11:35
12/2㈪~12/6㈮ ①10:00~11:35 ②18:30~20:05 ※12/3㈫休映
12/7㈯~12/13㈮ 〇10:00~11:35 ※12/8㈰休映、12/10㈫休館