『大きな家』

若槻

4/19㈯~5/2㈮ ※火曜休館

2024年 日本

2時間3分 

配給:PARCO

監督・編集・プロデュース:竹林亮

企画・プロデュース:斎藤工

プロデューサー:福田文香 / 山本妙 /永井千晴

撮影:幸前達之

録音:大高真吾

音響効果:西川良

編集:小林譲 / 佐川正弘 / 毛利陽平

音楽:大木嵩雄

主題歌:ハンバート ハンバート 「トンネル」

人と人の繋がりについて、他人事でない話

 東京の児童養護施設で暮らす子どもたちの日常に密着した記録映像。青春リアリティ映画『14歳の栞』を手掛けた竹林監督と製作チームが、いま最も多忙な映画人である斎藤工による企画・プロデュースのもと、子どもたちが18歳を超え自立する準備ができるまでの生活、葛藤、成長を撮影する。

 竹林監督はこの映画が、成長し、巣立ち、自立していく子どもたちのお守りになるように、記録映像によって人々が感覚的に大切なものを見つけてもらえるよう願っている。

 斎藤プロデューサーは、彼ら彼女らの「これまで」と「これから」には我々の想像を絶する様々なドラマがあり、世の中との向き合い方、そして子どもたちを支える施設の職員の方々の日常、普段は立ち入れない場所における「当たり前」と観客がどう向き合うかが問われる、混沌とした現代に必然的に生まれた作品となったと語る。

 とある児童養護施設の子どもたち。その何気ない日常や葛藤をありのままに知ってほしい。製作者たちは子どもたちの現実を伝えつつも、どうすればプライバシーを守れるのか、という課題に突き当たる。熟考の末に、映画館でのみ上映することで顔も声も隠さないと決断するに至る。

 スタッフは映画を観た人が個人の背景を詮索してSNSなどで発信しないよう呼びかけるチラシも作り、公開後の映画館で配布している。よって本作は配信や商品化の予定はなく、劇場での上映のみ、というかたちとなる。

 全国には約600の児童養護施設があり、施設ごとに状況や背景は異なるため、本作は児童養護施設全体を代弁するものとはならない。それでも全国にある600施設のうちの一つのリアルを知るきっかけとなれば、と意図されている。

月刊ウインド2025年4月号より