運営機関「上映企画部」2024年内最後の打ち合わせ日は12/21㈯です
洋画離れと聞きまして
今回の会議では、今年の映画興収ランキングで洋画(実写)が1本も入っていないことが話題になりました。
現在、映画業界では洋画離れが深刻な問題になっています。私は洋画を観て育ってきたので、この現状は結構悲しいです。そこで、この場を借りて洋画の良さを個人的な見解から語りたいと思います。
洋画を観る醍醐味の1つは、文化の違いを楽しめることだと思います。例えばコメディ。同じ笑いをとるにしても、国ごとに比べて見ると違いが見えて興味深いです。日本では、ボケとツッコミがあり、両者の会話で笑いが成立します。ボケのおバカな言動には愛嬌があって、ありえない展開になっても何故か許せてしまう、周りを巻き込む笑いです。一方、アメリカやフランスでは、ブラックジョークや皮肉が主流で1人だけでも笑いを生み出していきます。
そして、実際にあるものや事柄だったり下品な言葉を使ったりして、絶妙なラインの笑いを誘ってきます。例えば『アニー・ホール』でスタンダップ・コメディアンを演じたウディ・アレンは皮肉ばかり言いますし、フランスの『最強のふたり』では、体が不自由な富豪(フランソワ・クリュゼ)と介護人の黒人青年(オマール・シー)のふたりが品のないジョークを通して仲を深めていきます。
また『ホーム・アローン』の泥棒(ジョー・ペシ&ダニエル・スターン)の撃退法や『マスク』での仮面をつけた主人公(ジム・キャリー)の変容ぶりなど、大げさに表現することで視覚だけでも笑える演出を作っています。海外は日本の笑いに比べるとブラックユーモアな要素が強い為、「え、そこ笑うところなの?」と戸惑うこともありますが、これが文化の違いかと知るきっかけにもなります。自国の文化との比較をする楽しさが洋画では味わえます。
そして、世代を超えて愛されるアイコニックな作品が多いことも挙げられます。作品を観たことがなくても、魔法使いといえば『ハリー・ポッター』やロマンス映画といえば『タイタニック』など洋画から連想されることが多いと思います。さらに、トム・クルーズやジョニー・デップなど俳優からも作品が連想されることがあります。今回の会議ではニコラス・ケイジが話題に挙がりました。ニコラス・ケイジと言えば、アクション大作からクリスマスのファンタジック・ストーリーに意を決した傑作『天使のくれた時間』が思い浮かびます。上映企画部ではニコラス・ケイジの様々な作品が挙げられ盛り上がりました。
家族に思い浮かぶ作品について聞いてみるとショーン・コネリーと絶妙な共演を果たした『ザ・ロック』やゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた『月の輝く夜に』を挙げていました。洋画には、多くの名俳優や印象的なシーン、キャラクターがいてそれだけ愛されている作品があるのだなと感じました。
映画といえば洋画だというのは、古い考えなのかもしれませんが、普段映画を観ないという方に名作や鉄板として、最初に観てほしいのは洋画だなと思います。もちろん、邦画にも素晴らしい作品はあります。しかし洋画は、日常(日本社会)から離れ、異文化に触れ自分の世界や価値観に刺激を与えてくれるものだと思っています。
宮下千宙
12月現在、上映についてアンケートを実施しています。よろしければ劇場や作品についてご意見・ご感想をお聞かせください。毎週土曜日の上映企画会議にて参考にいたします。
また、書棚横に設置してありますロビーノートにも映画の感想などご記入いただけます。こちらは月刊ウインドに感想のコメントが掲載される場合がありますので、よろしければ一筆をお願いします。