上映企画部だより 2025/4/2

若槻

シネ・ウインド上映企画会議 毎週土曜19時~

失敗、議論、重ねて

 当館には日夜さまざまな企画が持ち込まれます。前回の「上映企画部だより」でも書かれていますが、4月12日より公開の『老ナルキソス』や、近日開催予定である【安部公房生誕100周年祭】も当館に関わるスタッフによる持ち込み企画でした。代表取締役である齋藤正行が提唱したスローガン、「市民が運営する映画館」の通り、私たちの想いや声が形となる場所、それが此処シネ・ウインドなのです。

 そんな中、私が以前より温めていた企画を発表する機会があり、会議の数日前からパワーポイントを作成し、企画の目的や意義、そしてメリットやデメリットを整理していきました。しかし、心配性な性格のせいでしょうか。書き進めるうちに、気になる点やリスクが次々と浮かび上がり、気づけばデメリットの方が圧倒的に目立つ企画書になってしまいました。

「本当にこの企画書を提出してもいいのだろうか?」

 不安な気持ちを抱えたまま、企画書を上映企画部に共有し、会議当日に部員たちに説明をすることになりました。

 会議では、部員の皆さんが真剣に企画を受け止め、意見を交わしてくれました。予想以上に前向きな意見もあり、私が気にしすぎていた部分については「そこまで問題視しなくてもいいのでは?」と励ましてくれる声もありました。その一方で、やはり課題も多く、結果的に企画は見送りという形になりました。

 その決定された瞬間、悔しさよりも不思議とスッキリとした気持ちだったことを覚えています。企画が採用されるか否か以上に、自分のアイディアを形にし、皆の意見を聞き、議論を重ねることができたことに大きな意味があったのだと思います。

 また、部長からの「曖昧なまま始めて失敗するのが、一番良くない。」という意見はとても身に沁みました。今回の企画は実現に至りませんでしたが、まったくの無駄では無かったと思います。むしろ、この経験を通じて、自分の考えを整理し、企画の良い点や悪い点を考え、俯瞰する力がついたようにも思えます。

企画を発案した当初の舞い上がっていた自分より、不安を抱えながら企画書を作っていた自分より、今がずっと清々しく心地良い気分です。

長谷川 能活

シネ・ウインド上映企画部では、上映作品の選定や、作品紹介をお手伝いしてくれる方を募集しています。上映企画会議は毎週土曜19時より、事務所2Fフリースペースにて。映画館の運営に興味がある方、見学・入部など、お気軽に劇場スタッフにお声掛けください。